男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 セリーヌの言葉に嘘はなく、それが彼女の本心でもあるだろう。しかし言外に、俺への配慮を感じずにはいられない。
 大ホールで皇太后がサリーに語ったであろう、俺の帝位継承にまつわる重大な告白。俺はずっとセリーヌの傍らにあって、その真相をいまだに聞いていなかった。
「……産後には、負担となる話が飛び出すやもしれんぞ」
 事は人の生き死にに関わる。脅したいわけではなかったが、確認する俺の声は無意識に低いものになった。
「私はそんなにヤワではありませんから、大丈夫です。むしろ一緒に聞くことで、あなたの心の負担を少しでも軽くできるかもしれません。だからぜひ、ここに呼んでいただきたいのです」
 セリーヌの切り返しに、驚きを凌駕した感動が浮かぶ。魂に深く、感銘を刻む。
「降参だ、セリーヌ。俺はきっと、一生お前に敵わん。……だが、俺はそれが嬉しい。お前が俺の人生を照らし、彩り豊かに染め上げていく。当初の宣誓通り、我が生涯をかけてお前を誰よりも幸せな妻にする。だから生涯、お前は俺の隣にあれ」
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