男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 体のみならず視線の逃げ場まで奪われて、極度の恐怖と緊張で目の前が白黒した。
「セリウス……いいや、セリーヌよ。俺を謀ったな?」
 サイラス様が地を這うような声音で告げる。耳にした瞬間、キーンという反響音が脳内に鳴り響きく。
「俺の目は節穴ではない、誤魔化されん。俺を欺いた罪は重い。五代前の皇帝は虚偽の申告をした側仕えの一族郎党をひっ捕らえ、市中引き回しの上処刑台に立たせたというが……。さて、お前たちへの制裁はどうしたものか」
「っ!! どうかセリウスをお許しください!」
 セリウスへの制裁を匂わされ、弾かれたように叫んでいた。
「私はいかような罰でもお受けいたします! けれどセリウスはなにも知りません。全ては私の一存で行ったこと。罪は私ひとりに――」
「見苦しいぞ。俺は弁解や懇願は一切聞かん」
 私は必死になって言い募るが、サイラス様はそれを一刀両断する。
 薄く開いたままの唇を閉じることもできずに固まる私を、彼は長いこと捕食者のような余裕を漂わせて見つめていた。
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