男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 辿り着いた侍従長官室の前で、扉を叩きながら声をあげる。
 ところが、なかなか返答がない。小さく首を捻りながら、もう一度口を開きかけたその時。
 ――ギィイイ。
「おや。生きていたのですか」
 扉が中から引き開けられて、侍従長官のゼネダ様が顔を出す。
 ゼネダ様は、年の頃は二十代後半。印象的な銀髪と理知的なブルーの瞳、涼しげな細面に丸眼鏡を掛けたインテリジェンスを感じさせる風貌の持ち主だ。
 ゼネダ様が手ずから扉を引いて現れたことへの驚きもさることながら、私は彼からかけられた物騒な第一声に思わず目を瞬いた。
「あの、それは一体どういう……?」
「いえ、射殺しそうな目をした陛下に担がれていきましたので、てっきりもう息の根が止まっているのだとばかり。いやいや、死体処理の手間が省けてなによりです」
 ……これは、冗談なの? ゼネダ様の言動は難解で、私はその真意を測りかねた。
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