お見合い相手から溺愛されて困っています。
カナちゃんもメグちゃんも時間になったら私をさっさと上がらせる。
荷物を持たされ桜木さんの前に座らされた私はなんだか居心地が悪い。

桜木さんはパソコンを閉じ、「さぁ行こうか」とお会計をする。

桜木さんは近くに車を止めていたようで車に乗り込み連れて行かれる。
桜木さんの車はやっぱり高級車。
車に詳しくなくても知っているあのエンブレム。
さすがだなぁ。

「あかりちゃん、ちなみにこの車は俺の趣味じゃないから。秘書に箔がつかないからこれに乗るよう勧められたんだよね。」
クスクス笑いながら説明してくれる。

「もっと国産のコンパクトな方が好きなんだよね。」

そっか。
桜木さんてあんまりそういうところに拘らないんだ。

「今から行くところなんだけど小料理屋なんだよね。いい?」

「もちろん。どこでも大丈夫です。」

「あかりちゃんは飲めるの?」

「ほどほどには飲めます。」

「地酒が美味しいんだよ。飲んでみて欲しいなぁ。あ、そうそう。料理は注文できないんだ。メニューがないから。嫌いなものやアレルギーを言ったらそれ以外で適当に出してくれるからね。適当なところでお腹いっぱいと言わないと永遠に作られちゃうからね。」

「面白いですね〜。何が出るか分からないなんて楽しみです。」

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