お見合い相手から溺愛されて困っています。
このままでは引き下がれない。

入ってしまったあかりちゃんのドアを叩く。

「あかりちゃん、話をさせてくれないか?」

反応はない。
またドアを叩く。

「ごめんなさい。もう遅いので帰ってください。」

たしかに夜も遅い…このままドアの外でいつまでも話すわけにもいかない。

「あかりちゃん、また明日話そう。おやすみ。」

俺は仕方なく駐車場に向かった。
あかりちゃんは俺に惹かれてくれると言っていた。
俺の背景だけで俺はこのまま引き去るわけにはいかない。
俺自身をもっと見てほしい。

本気で俺は弟に譲ってもいいとさえ思っている。
責任ある仕事が嫌なわけでも、放り出したいわけでもない。
でも…それを弟に譲ってもあかりちゃんを手に入れたいと思う。
こんなわがままを言ったことは今までない。
でも今わがままを言わなくていつ言うんだ、と思うくらいあかりちゃんを手に入れたい。
どうしてここまであかりちゃんに惹かれるのか俺自身もわからない。

このどうにもならない気持ちをどこにぶつけたらいいのかもわからない。

俺のことを見てくれ
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