お見合い相手から溺愛されて困っています。
「桜木さん、血迷ってはダメです。一生のことですよ。よく考えてください。」

「お見合いは結婚前提のはずだよね?俺は君との結婚を考えられるから店長に頼んだんだよ。血迷ってないよ。」

何か私がおかしいことを言ってるかのように笑いながらまたコーヒーを飲む。

どうしてこんな落ち着いてられるの?

私ばかりが興奮しているように思える。

「ごめんなさい。頭が回らないので失礼します。」

「頭が回らないならちょうどいい。このまま食事に行こう。血糖値が上がれば頭も回るさ。」

強引に手を引かれホテルの最上階へ連れて行かれる。
最上階のレストランは予約がされており見晴らしのいい席に座らされた。

「ここはなんでも美味しいよ。コースでいいかな?」

「…はい。」

どんどん運ばれてくるが私の頭はついていかず無言で口に運ぶだけ。

桜木さんは相変わらず笑顔で私を見つめてくる。
 
食べてるところを見られ恥ずかしい。

「桜木さんはどうしてお見合いをしようと?きっと桜木さんはお見合いをしなくても相手はたくさんいますよね?」

「正直なところ、相手は勝手に近寄ってくる。それは俺が望む、望まないに関わらずね。もちろん俺としては望んでいない。相手は自分で決めたいから。」

「はぁ。近寄ってくるでしょうね…。」

「嫉妬?嬉しいなぁ。」

「そうは言ってません。見た目、桜木さんに近付く人は多いだろうなぁと思ったまでです。桜木さんがどんな人か分からないから、見た感じでの話ですけど。」

「みんな見た目と肩書きで話しかけてくるよ。」

「そんなもんなんでしょうかねぇ。見た目のいい人は胡散臭く思いますけど。」

「それは俺はどう思えばいいんだろう。」
クスクス笑いながらいう。

「あ、ごめんなさい。桜木さんの見た目は凄くいいと思いますよ。でも性格が分からないから胡散臭いか分からないです。ただ、見た目の良い人についこの前浮気されたのでウンザリしてて…つい当たっちゃいました。」

「人は見た目じゃないから俺個人を見てくれると嬉しいんだけど。」

「それはそうですよね。イケメンだからみんな胡散臭いっていうのは間違ってますよね。ごめんなさい。」

「君は素直だね。すぐに謝れる。」

「失礼なことを言ったので謝るのは普通では?」

「なかなか行動に移せない人は多いよ。」

「そうですかね。」

「でも俺としてはその胡散臭いイケメンさんに感謝してるんだよ。君と別れてくれてさ。」

ズキッ
やっとこのところ忘れていたのにまた思い出しちゃった…
なんで私が振られなきゃならなかったのよ。

「イケメンさんのおかげで俺は君と会うことができた。俺がアプローチするチャンスが回ってきたんだ。君にとっては忘れたいことかもしれないが俺にとっては最大のチャンス。君の傷を埋めてあげるよ。君を俺の腕の中に落ちてくるよう攻めていくよ。」
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