お見合い相手から溺愛されて困っています。
あれ?
見かけたことあるのかな?
そんなことが顔に出てしまったのか、桜木さんはため息まじりで、
「そうだろうな…他の子たちはみんな俺に声をかけてくるが君だけは声をかけてこないもんな。それに注文を取りに来たことさえないんだよ。」

なら知らないのは仕方ないじゃない。

「みんな俺にあれこれ聞くけど君は他の客と楽しそうに話してるもんな。」

なんだかいじけているように聞こえる。

そういえばカナちゃんやメグちゃんとか若い子たちに人気のお客さんがいるって聞いたことあるかも。桜木さんのことなのかしら。

人気の人が来るとみんな注文をとりに行きたがるから私は譲っていた。

それというのも賢がいて、賢と結婚すると思ってたから他の人に興味がなかったのかも。
この人が人気のお客さんだとするならば、きっとみんなに譲っていたんだろうな。

「そうでしたか。大変申し訳ありませんでした。」

「なので俺は会って5分で決めたわけじゃない。」

「?」

「結婚のことだよ。」

「まさか!本気ですか?」

「本気だよ。前向きな付き合いが心配なら結婚してもいいと思ってるよ。」

このぶっ飛んだ考え方をする桜木さんに開いた口が塞がらなかった。
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