愛して欲しいなんて言わない!
「まだ勘違いをしているのか?」

西九条の悲しげな声が聞こえてきた
西九条の指先は私の毛先を絡ませて遊んでいる

私の心臓がバクバクと音をたてて
鳴りだす

「俺が好きなのは…」

西九条の深呼吸をした

「一人しかいないのに
どうしてわからないんだ」

西九条の指が髪から離れた
私の額に手が触れると
唇に何かが触れた

西九条がキスをしてきた
長くて、優しいキスだった

キスを終えると
西九条は静かに部屋を出て行った
< 110 / 151 >

この作品をシェア

pagetop