愛して欲しいなんて言わない!
「7時前に帰ってきたよ」

「そういう問題じゃない」

何、それ
やっぱり怒っている

期待通りの怖い顔だ

小林の誘いを断っておけばよかったかも

後悔しても遅いけど
妹の誕生日プレゼントを困ってたし

同じクラス委員同士
仲良くしておきたい

意味もなく
避けるのはどうかと思う

「ちゃんと遅くなるってメールしたよ?」

「俺は遅くなることに
OKを出してない」

「駄目ならメールしてくれればいいじゃん」

「電話した
出なかったのは理菜だ」

「電話に出れるわけないじゃん
声を聞かれたどうするの?
担任と生徒が携帯で電話してるなんて
おかしいって思われる」

「へえ
一応、まわりを気にしているのか?

それとも小林に結婚していると
知られたくないだけ?」

「はあ?」

「間抜けな声を出すな
俺の質問に答えろ」

「意味のわからない質問に答える
義務はない!」

「俺はお前の監督者だ
お前の行動を監視し、把握する必要がある」

「エントランスで話すことじゃないだろ
私は家に帰る
腹が減って苛々する」

私は大股で荒々しく足音をたてながら
エレベータに乗り込んだ

頭ごなしに怒鳴る西九条とは
一緒の空間にいたくなかった

だから
西九条が乗り込んでくる前に
エレベータの扉を閉めて
家に帰った
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