幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「――さあ、行こうか。娘達。リーゼロッテ、おいで」
「お父様、フランが先」

 リーゼロッテは、もじもじしているフランチェスカを父の前に押しやる。
 たくさんの招待客に囲まれて不安になる中、一生懸命やったのだから、もう少しフランチェスカを誉めてもいいと思う。

「――だが」
「お父様、リーゼなら大丈夫。フランをいっぱい誉めてあげて」

 なにせ、佳奈は、享年二十四歳である。
 いくら外見が五歳であっても、人前で抱っこされるのはちょっと恥ずかしい。家族だけの団欒の時になったら父の膝に乗せてもらおう。

(それに、フランは、お父様にもっと可愛がってほしいって思ってるから)

 前世の年齢分経験値が高いリーゼロッテは両親の愛情をよくわかっているが、フランチェスカはそうではない。
 フランチェスカが、リーゼロッテは気がかりだ。自分は大丈夫だから、父にはもう少しフランチェスカのことを気にかけてほしいものだと思う。
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