幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
神殿に向かう馬車の中、父の膝の上に乗ったフランチェスカは緊張を隠せない様子だった。兎の耳をチューチュー吸って、兎の両腕をぐいぐいと引っ張っている。兎の腕がもげるのではないかと心配になるほどだ。
「大丈夫だよ、フラン」
その隣に座ったリーゼロッテは、ぬいぐるみを側に置いて、フランチェスカの手をなだめるように叩いた。
(私のスキルって、どんなものだろう)
リーゼロッテは、少しばかりわくわくしている。
前世では、生まれ変わって新しい世界でさまざまな能力を与えられた主人公が冒険をする小説や漫画が、多数刊行されていた。
まるで、今から冒険の旅に出る主人公になった気分だ。
「やはり、跡取りはリーゼロッテだな。この年でこれほど落ち着いているとは」
「あなた、それはまだわからないでしょう? 同じ年なのですから、どちらが継いでも問題はありませんわ」
「だが、リーゼロッテが姉であるのは事実だろう」
「それはそうですけれども」
父の正面に座っている母と、父の隣に座っているリーゼロッテの目がぱちりとあう。視線が絡んだ瞬間、リーゼロッテは微笑み、母はふっと目元を柔らかくした。
「大丈夫だよ、フラン」
その隣に座ったリーゼロッテは、ぬいぐるみを側に置いて、フランチェスカの手をなだめるように叩いた。
(私のスキルって、どんなものだろう)
リーゼロッテは、少しばかりわくわくしている。
前世では、生まれ変わって新しい世界でさまざまな能力を与えられた主人公が冒険をする小説や漫画が、多数刊行されていた。
まるで、今から冒険の旅に出る主人公になった気分だ。
「やはり、跡取りはリーゼロッテだな。この年でこれほど落ち着いているとは」
「あなた、それはまだわからないでしょう? 同じ年なのですから、どちらが継いでも問題はありませんわ」
「だが、リーゼロッテが姉であるのは事実だろう」
「それはそうですけれども」
父の正面に座っている母と、父の隣に座っているリーゼロッテの目がぱちりとあう。視線が絡んだ瞬間、リーゼロッテは微笑み、母はふっと目元を柔らかくした。