幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 ぎゅっと目を閉じ、開いたその時には、フランチェスカは目を丸くして立っていた。

「おぉぉ……これは!」

 神官も驚いたようだ。神官の持っている丸い玉には、何か文字のようなものが浮かんでいる。

「公爵様、フランチェスカ様が授かったのは――"回復魔術"ですよ!」
「――なんと! でかした、フランチェスカ!」

 神官が驚くのも、父が喜ぶのも当然だった。
 回復魔術は、人体の回復力を極限まで高め、怪我や病気を治すことができる。
 本人の体力によるので、死んだ人間が生き返るわけではないし、寿命による死も避けることはできない。だが、怪我を一瞬で回復させることができたり、高熱を下げることができたりするスキルは非常に貴重なものだ。
 かつて、聖女と呼ばれた少女アビー――女神の名をとってそう名づけられたそうだ――が行使したスキルも回復魔術だと言われている。

「さすが、我がフリードベルク家の娘だ! でかした! さて、リーゼロッテ、お前はどんなスキルを授かるのだ?」

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