幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「フランチェスカ、"それ"とは口を聞くんじゃない。私は認めないぞ。フリードベルク家から、こんな何の役にも立たない人間が出るとは」

 リーゼに手を伸ばそうとしたフランチェスカを、父は引き戻した。母が間に割って入る。

「あなた。リーゼロッテはまだ五歳になったばかりですよ。そんなことを言わなくても」
「お前にはわからないだろう。リーゼロッテが跡取りであると、もう皆思っているのだぞ。それが、こんな外れスキルなど……」
「ですからまだ早いと申し上げましたのに。女神がどのようなスキルを授けるのかは、その場になってみないとわかりません。あなたは、リーゼロッテを……」

 父はすさまじい目で母をにらみつけ、母の言葉はそこで途切れてしまった。父の膝にいるフランチェスカは、行きと同様、ぬいぐるみの耳をしゃぶり始めた。

(……これって、あんまりじゃない?)

 リーゼロッテは心の中でつぶやいた。
 つい、一時間ほど前までは、父はリーゼロッテをそれこそ目の中に入れても痛くないほどかわいがっていた。
 それなのに、父の想像していたスキルと違ったからといって、ここまで露骨に態度を変えるなんて。

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