幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 たしかに、吸血鬼が本領を発揮するのは夜になってからだ。オルシウスは、日光にあたってもさほど問題はないとはいえ、夜の方が気楽なのだろう。

「オルシウスが食べておいしい生気だったらいいんだけどねぇ」

 アルダリオンと手を繋ぎ、屋台をひやかして回る。

「主! 主! あれ食べたい!」

 豚肉を串に刺して焼いたものにシドが釘付けになった。舌がのぞき、尾が激しく揺れている。

「リーゼも! アルダリオン、一本買って!」
「わかりました。二人で一本ですよ? 他のものが食べられなくなってしまいますからね」

 串焼肉は塩コショウだけのシンプルな味付けだが、石段に腰を下ろして食べると、ご馳走を食べている気分だ。
 まずリーゼが半分食べ、さめたところで残り半分をシドに差し出す。石段のところで足をぶらぶらさせながら見ていたら、屋敷の住民が町民に交じっているのに気が付いた。

「あ、ムラトだ!」

 ムラトは、力比べの場所にいた。単純に言えば、腕相撲だ。負けた方は、勝った方にお酒を一杯おごるのが決まりらしい。
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