幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「お嬢様には、まだまだ学んでいただかないことが多くあります。ですから、仕事は我々に任せてくださっていいんですよ」
「うん」

 本来なら、人に丸投げにしてしまうのは誉められたことではないのだろうけれど、皆のことは信頼している。
 リーゼにわかるように、書類を見せる時には言葉を砕いて説明してくれる。リーゼが一応領主をやっていられるのも、デリモがどんどん発展しているのも、皆の力があるからだ。

「そうですね――あとは」

 アルダリオンは顎に手をあてて考える表情になった。

「デリモからの脱出路については、ムラトの監督の元に整備を進めていますし――堤防も、ある程度片付いていますし」

 ごく自然な動作で、アルダリオンはリーゼを抱き上げた。アルダリオンの目とリーゼの目が、同じ高さで見つめ合う。

「脱出路も堤防も、リーゼお嬢様がいなければ実現しなかったのですよ。リーゼお嬢様の立派なお仕事ですとも」
「そっか。リーゼ、何もできなかったわけじゃないんだね」

 追放された先が、デリモでよかった。デリモに来なければ、アルダリオンやムラトやオルシウスには会えなかっただろうから。

「下りる!」

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