幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「俺の見立てじゃ、一週間後には、このあたりにヴハ王国の軍勢がずらり、だろうな」

 謁(えっ)見(けん)室(しつ)のテーブルには、大きな地図が広げられている。その地図の上にサージが指で一本の線を引き、リーゼのかわりに答えると、皆の表情が険しさを増した。

「……そうですか。では、直ちに避難の準備を命じましょう。領主様も避難の準備を」

 この地は、今までに幾度もヴハ王国に侵攻されているから、こういう時は毎回同じ対応をすることになっていた。
 けれど、町長の言葉に、リーゼは首を横に振った。

「リーゼはここに残るよ。領主がいないと、きっともっと奥の方まで攻めてくると思うんだ」

 今までヴハ王国が深追いしてこなかったのは、この地には正式な領主がいないというのも知っていたからだろう。

「――ですが!」
「町長がリーゼを心配してくれるのは嬉しいよ? けど、リーゼは領主だから、ちゃんとしないといけないの」

 ヴハ王国が侵攻してくると聞いた時から、覚悟は固めていた。
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