幼女で領主で聖女様！？名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる！

「もうすぐ、領主の屋敷にも報告が行くと思うがな。今日、街に来た商隊の話によると、国境の向こうで遠征軍の編制が始まっているらしい。

「国境の向こうってヴハ王国よね？」

　リーゼはヴハ王国の方へと視線を巡らせる。

「アルダリオン。町の有力者達を集めて、避難するよう伝えなくちゃ。ありがとう、シド」

　シドは、犬達からも情報を集めたようだ。人間が口にしないことを、動物達はシドに教えてくれる。

「思っていたより、早かったですねぇ……領主が子供だということも知っているのでしょうね」

　子供が相手なら、この地を奪うのも難しくないと思われたのかもしれない。簡単に渡してやるつもりもないけれど。

（……私が聖女だって言うのなら）

　夢で会ったアビゲイルに心の中でささやく。
　どうか、リーゼにこの地を守らせてください。

　屋敷に戻り、デリモの有力者達をすぐに集合させる。近隣の集落の長達にも、急いで使いを走らせた。
　リーゼの話を聞き、町長はじめ有力者達は、顔をこわばらせた。

「領主様、ヴハ王国の侵攻はいつ頃になるのでしょう？」