幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 吸血鬼の繁殖には二通りの方法があるのだ。他の生物と同じように子を成すか、人間の血を吸って仲間にするか、だ。
 だが、仲間の数は今のままで十分。これ以上増やす必要はない。
 軽く肩をすくめたオルシウスに向かって歩いてきたアルダリオンは、オルシウスの手に小さな瓶を滑り込ませた。

「時間があったら、相手の飲料水にこれを入れてきてください」

 アルダリオンは、リーゼの前では見せない笑みをひらめかせた。かなり腹黒いところがあるのだが、リーゼの前では彼はこういう顔は見せないことにしているようだ。

「……なんだい、これは」
「ほんの少しばかり、お腹が痛くなるだけですよ。吐いたり、お腹を下したり、そんな症状は出ないから汚くありません」
「そういうことを言いたかったんじゃないんだけど」
「身体に不快な症状が出れば、人間は集中力を失うでしょう? ですから、ちょっぴりお腹が痛くなれば十分なんです。特にこのあたりが、ね」

 アルダリオンが押さえたのは胃のあたりだ。
 たしかに、胃がシクシクとしていれば、集中力を欠くだろう。それはそれで、昼間敵の相手をする面々の負担を小さくすることに繋がる。

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