幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「わかった。余裕があったら、入れてくるよ」
「よろしくお願いします」

 アルダリオンは敵に回したくないな、とオルシウスは思った。
 エルフにしては珍しい考え方をするのは、彼がエルフ達から離れて生活しているからだろうか。

「――それじゃ、行きますか。我らの聖女に、勝利を捧げなくては、ね」

 子供のリーゼは、もうとっくに就寝している時間だ。リーゼが眠っている部屋の方に投げキスを一つ飛ばす。
 リーゼは常に自分のことは顧みず、周りの者たちの幸せを優先して考える。そんな彼女だからこそ"聖女"の力が宿ったのだろう。

(もし、君に聖女の力がなかったとしても、僕達は君に感謝しているけれどね。嫌がらず、僕達を招き入れてくれた君に)

 仲間に合図し、一斉に闇の中に姿を消す。
 吸血鬼達の時間は、これからが始まりだ。
 

 夜が明けようとする頃、シドは防壁の上から敵陣を眺めていた。

「あいつ、やりたい放題だな……」

 ぼそりとつぶやいたのは、敵陣で激しく明かりが揺れているからだ。おそらく、オルシウスの率いる吸血鬼達――総勢六名――に好き放題やられているのだろう。
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