幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
(有用なスキルを授かるか否かで、すべてが変わってしまうなんてね。馬鹿みたい)

 父から目をそらし、心の中でつぶやいた。
 本当に馬鹿みたいだ。
 もし、もう少し有用なスキルなら、父もここまで手のひらを返さなかったのだろうか。
 もうスキルを授かってしまった以上、今さらどうしようもないのはよくわかっている。
 けれど、もしも――心の中でそう繰り返さずにはいられなかった。

(もし、回復魔術を授かったのが、フランチェスカじゃなくて私だったら?)

 そうしたら、父はリーゼロッテを見捨てなかっただろうか。そう思い、自分の考えの恐ろしさにおののいた。
 フランチェスカだったら、こんな状況に耐えられないだろう。きっと。

(……だから、これでよかったんだ)

 リーゼロッテなら、この状況でもまだ自分を失わないでいられる。だからよかったのだと繰り返し自分に言い聞かせ続けた。
 馬車が屋敷についても、父はまだ怒りを完全に沈めることはできていないようだった。あてつけのようにフランチェスカを抱き上げ、そして屋敷の中に入っていく。

「……お母様」

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