幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 今後は国境を越えないという約束、それから、若干の賠償金を支払うことでデリモとヴハ王国の間では決着がついた。
 ついに公爵の軍は到着しなかったけれど、援軍がなくても敵を退けることはできたからよしとすべきなのだろう。
 

 * * *

 

 ヴハ王国の軍が撤退していってからひと月。リーゼは、領主としての仕事に意欲的に取り組んでいた。
 アルダリオンに領主としての仕事を教えてもらうのは楽しいし、自分にできることが増えていくのは嬉しい。
 ――それに。
 サージ経由で届く母からの手紙には、フランチェスカもようやく元気を取り戻してきたと書かれていた。
 フランチェスカの回復魔術は素晴らしく、都では"リーゼロッテ・フリードベルクは聖女である"という噂が立ち始めているようだ。

「なあ、リーゼ。このままでいいのか?」
「このままでいいのかって? よくないよ? でも、今はまだダメ。リーゼがもっと強くならないと」

 サージと一緒に、街の様子を見回っていたら、不意に彼が問いかけてきた。
 リーゼと公爵の確執を知っているサージは、今の状況が心配なようだ。リーゼは首を横に振った。
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