幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 ヴハ王国の侵攻も退けたし、新たな瘴気の発生は今のところ確認されていない。心配していた魔族の出現も見られないから、今はいたって平和な時間を過ごしている。
 母やフランチェスカが一緒にいないのは寂しいが、焦ってもしかたないのは知っている。

「そうじゃなくて、リーゼの名前は――」
「サージ、それは言わなくていい。リーゼ、自分の名前はちゃんと自分で取り返しに行くから」

 フランチェスカがリーゼロッテの名を名乗っているのは、公爵の命令だ。公爵の命令にフランチェスカが逆らえるはずなんてない。
 リーゼはまだ子供だし、領主としても未熟だ。名を取り戻すには、もっともっと力をつけ、能力を認めさせなくてはならない。
 ヴハ王国の軍を退けたのは、その一歩。大人になるまでにもっともっと偉くなって、自分の名前を取り戻すのだ。

「……そっか。お前は偉いな」
「偉い……かな?」

 サージの大きな手が、ぐしゃぐしゃとリーゼの頭をかき回す。大人に、こうやって頭を撫でられるなんて前世ではなかったし、今回の人生でもここに来るまでなかった。
 デリモに来てから、何かあれば、こうやって皆がリーゼの頭を撫でてくれる。
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