幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 父の豹変ぶりが信じられない。扉を叩いていた手が鈍い痛みを訴え始め、リーゼロッテは手を止めた。
 小さな拳は、真っ赤に色が変わっている。

(……私は、どうすべきだったの?)

 ため息と共に、ずるずるとその場に沈み込んだ。
 何が間違っていたのだろう。考えてみるけれど、答えなんて見つかるはずもなかった。
 スキルを選ぶことはできない。役に立たないスキルと言われても、そのスキルと共に生きていくしかないのだ。
 この部屋は、上の方に小さな窓があるだけ。まだ、午後も半ばだというのに、部屋の中は薄暗くなり始めていた。まるでリーゼロッテの未来を暗示しているかのように。

(……私、うぬぼれていたのかもね)

 父は、いつだってフランチェスカよりリーゼロッテを優遇してきた。
 その分リーゼロッテは妹に気を使ってきたつもりだったけれど、それは自分の方がフランチェスカより愛されているという傲慢がどこかに紛れていなかっただろうか。

(……本当、どうしようもないな。私ってば)

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