死神は花を狂おしい程愛してる
でも蒼士は、まだお互いをわかり合う前に結婚したいと言う。
何か魂胆があるのかと思ったが、そうでもなさそうだった。

ほんとに純粋に、花楓と放れたくないのだろう。

そして今も、片時も放さないのだ。
手も、目線も。

ジュエリーショップ前に着き車から降りてからも、放れない蒼士。
人が多いからと、尚もぴったりくっついてきた。
容姿の整いすぎている、蒼士。
イケメンと言う言葉で表現できない程の整った顔に、周りの人達が注目し、中には立ち止まり見惚れる者もいる。

そんな人達に蒼士は、
「退け!!そこ、通れない。道を開けろ!」
と怒鳴り、一喝するのだ。
「え?す、すみません!」
その迫力に、割ったように道をあける人達。
花楓は呆気にとられていた。

先程の熱っぽく見つめていた、蒼士は誰?
お似合いだからとはしゃいでいた、蒼士はどこ?
全く想像できない変わりように、ただただ…ビックリしていた。

「蒼士さん」
「ん?なぁに?」
ほら、花楓にはこんなに甘く優しい。
「私が避ければいいので、そこまで言わなくても……」
「なんで?
なんで、俺や花楓が避ける必要があるの?
周りの人間が、俺と花楓を敬うべきなんだよ。
だいたい、俺や花楓と同じ空気を吸って、同じ空間にいれることに感謝しなきゃ…!」
「そんな……」

そしてショップ中に入り、色々見て回った。
「指輪、どれにする?」
「え?えーと……」
「とにかく、今すぐにつけて帰れるやつにしような!」
「うん、いいよ」
「花楓が俺のモノって、証をたくさん身につけないとね!」
「え?うん…」

この時から既に、蒼士と花楓の想いの差はひらいていたのかもしれない━━━━━━
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