死神は花を狂おしい程愛してる
指輪が決まり、イニシャル彫るように店員に勧められたが、
「それ、時間かかるんだろ?
俺はすぐにつけたい」
と蒼士が言った為、そのままショップを後にしたのだ。

洋次の運転する車の車内で、お互い指輪をはめ合う。
「花楓…綺麗……」
とうっとりして蒼士が言った。
「そうだね。綺麗なピンクゴールド……
蒼士さんのシルバーも素敵…」
花楓も自分と蒼士の手を見て答えた。

「違うよ」
「え…?」
「綺麗なのは……花楓…」
「ンン……」
そのまま顔が近づいてきて、口唇が重なった。
だんだん…深くなって、花楓は苦しくなる。
口唇を離そうとするが、その度に蒼士が追いかけるように、くっついてきてなかなか口唇が離れない。

「んん…んぁ……ふぁぁ…」
咄嗟に蒼士の服を握りしめ、すがりついた。
「……可愛い…花楓」
やっと解放されたが、息切れで肩が上がっていた。
蒼士が花楓の口唇をなぞる。
「ごめんね…夢中で貪っちゃった……!」
「はぁはぁ…生見さんもいるのに…」
「洋次のことは、大丈夫だよ。
それに、花楓が悪いんだからね……」
「え……」
「俺を夢中にさせたんだから」

屋敷に着くと、たくさんの人間がズラッと並んで待っていた。
「蒼士様、花楓様、お帰りなさいませ。
お疲れ様です」
ビクッとする花楓。
「花楓?」
「う、ううん…何もないよ……?」
「………」
花楓は少し、圧迫感のようなものを感じていた。

たくさんの使用人や部下の間を通る。
その一番奥に、二人の専属のお世話係の羽山がいた。
簡単に挨拶をして、部屋に向かう。

二人の部屋に着くと、ソファーに座った蒼士が横をトントンと叩いて言った。
「花楓、ここ!おいで?」
「うん…」
横に座ると、膝に頭を乗せてきた蒼士。
「え?」
「膝枕してくんね?」
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