志岐さんと夏目くん
「えーっと……その……」
「うん?」
「……あ、コンビニっ。 ちょっと、コンビニに入らないっ? ほら、さっき……カラオケのとこで注文したジュース、あんまり飲まずに出てきちゃったしさっ……」
「あーそういえばそうだね。 うん、なんか買おう」
辺りを見回して真っ先に目に入った、コンビニの明るい色彩の看板。
それを指差しながら言った私に、夏目くんは微笑んだ。
元気いっぱいの笑顔、ってわけじゃなかったけど、それでも夏目くんの笑顔を見たら少しだけホッとした。
「……あっ、ここの支払いは私が持ちますんでっ。 なんでも好きな物を買っちゃってくださいっ」
「え、俺が出すからいいよ? 迷惑かけちゃったお詫びがしたいし」
「いいのいいの、ていうか私の方がお詫びしたいくらいだよ。 ほら、無理矢理アレしちゃったし……。 それにカラオケ料金も出してもらっちゃったしね。 だからここは私が払うよっ」
「そう? んー、じゃあお言葉に甘えて」
「うん、ドンッとお任せ下さいっ」
「ふふっ……ありがとう」
なんか私、張り切りすぎて変なキャラになっちゃってる気がする……。
でもまぁ……夏目くんが笑ってくれたからいいや。