志岐さんと夏目くん
「とりあえずは体育館に行ってみようかな」
と、ポツリと言った時だった。
「あっ、志岐さん!! 志岐さんだよねっ!? 久しぶりぃ〜!!」
「わぁ志岐さんだぁっ!! ずっと連絡が取りたかったんだよぉー!!」
ガヤガヤと騒がしくなってきた廊下に響く、女子の明るい声。
そこに居たのは、たった一度だけ会った女子二人……佐々木さんと平山さんだった。
「佐々木さんっ、平山さんっ」
「来てよかったぁ。 私たちね、志岐さんを探しに来たのっ!! 学園祭ならきっと会えると思って!! あの日のことずっと謝りたかったんだっ!!」
「えぇっ、そんな、わざわざよかったのにっ。 というか、私の方こそあの日はごめんねっ……」
「ううん、志岐さんは悪くないよっ!! 悪いのはアイツらだもんっ!! 私らあの日にソッコー別れたんだよっ!!」
「そうなのっ!?」
「だってムカつくしっ!! あんな言い方マジで有り得ないっ!!」
怒った顔で言う佐々木さんと、同じく怒った顔で頷く平山さん。
……まさか、あの日あのあとすぐに破局したとは……。