志岐さんと夏目くん
夏目くんの手が、髪に触れる。
そのまま、優しく優しく頭を撫でられた。
「好きだよ、志岐さん。 ずっと前から好きだった」
それは……想像もしていなかった言葉。
ううん、想像しちゃいけないと思っていた言葉……。
私と夏目くんの感情は違うって思ってた。
だから……絶対に有り得ないと思ってた言葉だ。
「本当に……?」
「うん、本当。 だから先に言いたくてキスで言葉を遮った。 無理矢理しちゃってごめんね」
「……私の気持ちが違ってたら、どうするつもりだったの……?」
「あの流れで違ってたらヤバくない? ていうか、え、もしかして違ってた? 俺の勘違い?」
焦ったような顔をする夏目くんに微笑みを見せ、そのまま体を抱き寄せる。
「……ううん。 私、夏目くんが好き。 だから同じ気持ちだよ」
ギュッと、強く強く。
夢じゃありませんように、と確かめるように。