志岐さんと夏目くん
「……夏目くんの馬鹿。 汚れただけで済んだけど、二人とも怪我するところだったよ?」
「ごめんなさい、反省してます」
「もう二度としないでね?」
「んー、それは無理。 だって俺、絶対にまた志岐さんに触りたくなっちゃうもん」
制服についた汚れを払いながら、夏目くんが笑う。
「好きな子だからこそ、触りたくなるんだよ」
「……えっ?」
「まぁ、近藤や山口みたいに 他人に見せつけるようなことはしないけど」
「ちょ、ちょっと待って。 え、今……「好きな子」って言った?」
聞き間違いじゃなくて。
絶対に絶対、言った……よね……?
「……目の前に居るのって私だよ? 私しか居ないよ?」
「アハハ。 幽霊とか見えてないから大丈夫だよ。 まぁ見える体質だとしても、俺は志岐さんしか見ないけどね」