誰を?何を?見ているの?

☆☆情けない


天音は、ずっと俺を好きだった?
まったく、わからなかった。

兄貴を慕っていると
ずっと思っていたから。

全てが後手に回っている。

兄貴の言う通り
彩葉との生活は
居心地が良く、何の煩わしさもない
一年という区切りがあるからなのか
穏やかなで、一緒にいて
違和感がまったくない。

このまま、ずっといたいと
思える存在になると思っている。

だが、俺のどこかに
天音は、もう本当にいいのか?
ずっと、長いこと
好きだったのだろう?
お前の一方通行ではなく
天音もお前を好きなんだぞ
と、騒いでいる。

「あれ?薫、帰っていたの?」
と、彩葉が帰ってきたのも
気づいていなかった。
「ああ。連絡しなくてごめん。」
「そんな事は良いけど。
大丈夫?顔色悪いよ。」
「大丈夫だよ。」
と、なんとか答えて
「少し仕事してくるけど
良いかな?」
「うん。夕飯食べれそう?
何か、軽いものにする?」
「いや、普通で良いよ。」
と、言って自分の部屋へ行く。

俺の後姿を彩葉が見ているとは
思っていなかった。

携帯にLINEが·····

《 会いたい 》
と、天音からだ。
《 明日、時間作る。 》
と、返した。

兄貴に
《 明日、天音と話すから
実家に帰る。 》
と、連絡すると
《 わかった。 》
と、返信が。

少しすると
« コンコン »
「ご飯できたけど、忙しいなら
先にたべるけど。」
と、ドアの外から彩葉。
「いや、一緒に食べるよ。」
と、言い部屋を出て
彩葉と食事をする。

いつもは、色んな話をするが
今日は、静かだ。

「彩葉、明日兄貴の所に
行ってきたいけど良い?」
「うん。構わないよ。
哲さんと食事してくる?」
「ああ、そうするかな。」
「わかった。それなら私もとも子と
食べてくるね。」
「わかった。気をつけて帰れよ。」
と、話し、食事を終えて
俺は、自分の部屋に入り
仕事と称して考えていた。

だが、いくら考えても
簡単に答えが出るわけでもなく。

天音と話し、一年待って欲しいと
伝える?

この生活を手放せる?
たとえ一年と言われていても

情けないことに
決めきらない自分が
歯がゆかった。
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