誰を?何を?見ているの?

☆☆再会


あ~あ!!········話しかけてしまった。


ここ、佐久間総合病院に勤務して
三ヶ月が過ぎた。

ひと月目は、事務長の引き継ぎで
あっと言うまに過ぎ
ふた月目は、
メーカーさんや事務に関する業者さん
との顔合わせ

病院が大きいだけに
レセプトも大変で·····

病院受付は
会計を入れて四名体制で行い

入院に関する事務や
各病棟窓口にも事務がいる

労災担当、事故担当
発注担当やここの病院は、
仕事の分担がきちんとされている。

俺と事務長を入れて
総勢35名の事務員が
交替で勤務をしている

レセプトは、全員で行う
それでも、月始めは残業となる。

そんな俺の疲れた身体を
癒すのは彩葉だった。

人命を優先する彩葉は、
何事にも全力だ。
彩葉が、子供達と笑い合う姿を
隠れてみる。

だが·····今回は·····

悲しげに、空を見て·····
口が動く·····
遥さんに····話し···かけて····
いるの····だ···ろうか·····

しばらく見ているが
動く気配がない

頼まれていた用事を済ませて
急ぎ戻るが、まだベンチにいる彩葉····

あの時の·····
風邪をひいた彩葉を思い出す

香水の匂いが臭いと
言われた事も····

俺は、首をふり
自分の着ていたカーディガンを
脱いで、急いで彩葉の元へ
「風邪をひく」
と、言いながらカーディガンを
彩葉の肩にかける

驚きの顔で振り向く彩葉·····
なぜ?どうして?と
言いたい顔をしていた。

もう少し、会うつもりはなかった····

なら、いつ?と言われると
答えに困るが·····

彩葉が、口を開いた時に
「風間さん、ここにいたのですか?」
と、声をかけられた。

この人は、事務長の娘さんで
川埜 あすかさん。
先週から事務補助で来ている
大学をでたばかりの23歳

事務のスタッフは、
15名は、男性
20名は、女性
結婚してる人もいるし
独身の人もいる。
子供さんのいる人達は、
小川先生のご両親が経営している
保育園に預けているらしい。
シフトにあわせてくれるから
助かると皆言っている。

事務長の娘さんだから
遠慮していたが
天音の時みたいになりたくない
誤解を招く事はさけたい
もう、間違ったり、失ったり
するのは嫌だ。

彩葉のそばにいたくて····
ただ·····それだけで
頑張ってきたんだ。

誰にも邪魔されたくない
それでなし·····
絶対的に勝ち目のない···
遥さんの存在があるのだから·····
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