誰を?何を?見ているの?
17項

☆☆私は···


私、川埜 あすかは、
父の勤める佐久間総合病院に
バイト形式で働いている。

実は、以前·····
父を迎えに行った時····

見かけた男性から
目が離せなかった。
その男性は父と話していた。

男性は、風間 薫さんと言って
別の仕事をしていたが
医療事務の資格を取って
今は、佐久間総合病院で父の後を
引き継ぐ為、事務長としての
勉強をしている。

自分は、事務長に向いていないと
言っているらしいが·····
そんな事はない。
とても優秀で、父がすごく褒めている。

高い身長に、緩くパーマのかかる髪
綺麗な二重瞼
高い鼻
薄い唇
仕事中は、厳しい顔をしているが
患者さんに接するときの
優しい眼差しや仕草は、
心が温まる。

バイトを始めて二週間
風間さんは、事務所からでると
何かを見てる?
何かをさがしてる?
そんな素振りをする事があり
私もキョロキョロみるが
わからずにいた。

だが、少し大きな事故があり
救急搬送があった日
慌てて事務所から出て行く
風間さん。

戻らない風間さんを
探している·····と
窓から中庭を見ている風間さんを
見つけた。
近づこうとすると
風間さんが、走り出した
あっと、思っていると
自分のカーディガンを脱ぎ
誰かにかけた

あれは·····たしか·····

あやは····さん····?·····

ここ佐久間総合病院院長の娘さん
そして、小児科医

彩葉さんは、風間さんを見て
ひどく、驚いているような·····

「風間さん、ここにいたのですか
探しましたよ。」
と、私は声をかけた。

二人の雰囲気が気になり
慌てて声をかけたのだ。

一緒に事務所に戻る·····

それまて無言だった
風間さんが·····

川埜事務長には、
本当にお世話になっています。
ですが、このような事は、
止めてください。

私には触れないでください。
私には、心に決めた人がいて
その女性に誤解や失望をさせたくない
と、言い
風間さんは、私の元から離れて
急いで出て言った。

「私だって·····私だって·····
いい加減な気持ちじゃないんだから!」
と、一人叫んでみたが·····

気持ちを伝える前に
玉砕·····か······

と······思いながら
頬には、涙が流れていた。
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