誰を?何を?見ているの?

☆☆揺らぐ気持ち


薫と会わなくなって
どのくらい経っただろうか?

私は、いったい何をやって
いるのだろうか·····

薫から貰った指輪を
そっと触る。(首にかけてある)

仕事が一段落して
一人中庭に立つ

「ここにいたのですか?」
と、声をかけられ
振り向くと····青山君
「······彩葉·····」
そう呼んだ彼の言葉に
涙が溢れる。

····はる······かっ·····



すると······



「あなた、何やってるの!?
薫ちゃんとやり直し
結婚するんじゃないの?
あなたは、いったい

誰を?

なにを?

見てるの?

しっかりしなさいよ。

薫ちゃんはね。
薫ちゃんは、
私の大事な大切な
幼馴染みなんだよ。
現実を見なさいよ!!」
と、言われ頬を叩かれる。

唐突な出来事にびっくりしていると

「誰だ?お前。
彩葉、大丈夫?」
と、私のそばにくる青山君

「私は、ピアニストの
永倉 天音よ。
あなたは、
青山 遥じゃない
青山 紬でしょ!
なんで、お兄さんになりすますの?
なんで、今更でてきて
薫ちゃんを苦しめるの?
あなたもあなたよ。
佐久間さん、あなたが本当に
薫ちゃんより、この男を取るなら
薫ちゃんは、二度、あなたになんか
渡さないから。」
と、怒鳴る天音さんを見ていて
気持ちが落ち着いてきた。

すると、青山君が
「ちっ」と舌打ちをして

「あのでき損ないの兄貴が
愛して止まなかった女を
見て見たかっただけ。
俺の顔を見て、呆けてる顔に
笑いを我慢するのに
大変だったよ。」
と、言う彼に言い返そうと·····

《 バコーン 》

「いてぇな!」
殴られて倒れる青山君に

「お前に遥の何がわかる。
生きたくて、生きたくて、頑張っていた
遥の何がわかるんだ!!

自分の夢を、自分の愛する人を
叶えられずに置いて行かないと
行けなかった、遥の何がわかるんだよ!

お前やお前の親は、遥を捨てたんだよ。
お前や両親が、自分を見捨てた時の
遥の気持ちがわかるか
わかるわけないわな
入院費だけを振り込んでよこす
家族なんだからな。」
と、息を上げて叫ぶ凪

そして、私を見て
「彩葉。良く見ろ!
こいつのどこが遥に似てるんだよ。
遥は、こんなやつとは違う。
お前の幸せだけを
子供達の未来だけを
考えがる、そんな奴だ。
しっかり、しろ!!
お前が、今、大事に大切に
しないといけないのは、
お前の為に、慣れない医療を
必死に勉強した薫じゃないのか
遥が空から、叫んでるぞ。」
と、言いながら、
凪は、私の頭をボンと叩いた。
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