彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
イライラが煮え立つように、
喉がキリキリと痛む。
苦い胃液が逆流して、
俺は、顔を歪めずにはいられない。
「今まで……お世話になりました……」
まだ涙が残る瞳をギュッとつぶり、
頭を下げた、みくる。
同じベンチで
たった一人分の空きスペースが、
俺とみくるを遮っている。
この距離は、もう縮まることはない。
むしろ、お互いの距離は
果てしなく開き続けるだけ。
この世に、
みくるが存在しているのかどうか。
それすらわからなくなるほど、
遠い遠い存在に。