彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目




「昴君、急ぎの発注依頼かい?」


「いえ。そうではないんです」


「もしや、
 我が社の姫を、さらいに来たのかな?」


「っ……へっ?」


「あれ? 
 いつも余裕スマイルの昴君が慌てるなんて。
 図星だったかな?」


「奥之山さんは、
 僕の心の中が読める黒魔術でも
 お使いになるんですか?」




「アハハ。
昴君は面白いことを言うねぇ」
と、言いながら

総長の腕に、肘を押し当てた課長は



「でもねぇ。賄賂がないと、
 わが社の姫は渡せませんなぁ」


ウッヒヒと、
悪徳お代官様なみの
引きつり笑いまで追加した。




でも総長は

演技くさい課長の操り方を、
心得ているらしい。


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