彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目



『ちょっとくらい、いいだろ?』


ニヤッと口角を上げ

私の気持なんか無視で

ズカズカと、部屋に入られると思ったのに……





「……わりぃ」


ドアノブに触れていた氷牙さんの手が、
ストンと落ち



「……帰らなきゃいけなくなるくらいなら。
 ……入んないから」



背中を丸め

眼鏡の前で
前髪をカサカサ集め始めたから


子供みたいな素直過ぎる反応に、
私は、困惑せずにはいられなくて



「リ……リビング…なら……
 良いです…けど……」


なんとか返したのは、
たどたどしい、どもり声。


< 303 / 343 >

この作品をシェア

pagetop