彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
『ちょっとくらい、いいだろ?』
ニヤッと口角を上げ
私の気持なんか無視で
ズカズカと、部屋に入られると思ったのに……
「……わりぃ」
ドアノブに触れていた氷牙さんの手が、
ストンと落ち
「……帰らなきゃいけなくなるくらいなら。
……入んないから」
背中を丸め
眼鏡の前で
前髪をカサカサ集め始めたから
子供みたいな素直過ぎる反応に、
私は、困惑せずにはいられなくて
「リ……リビング…なら……
良いです…けど……」
なんとか返したのは、
たどたどしい、どもり声。