彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目
鍵を、自分の頬の横で揺らし
頑張って、視線と口角を上げようと試みた時
私の手元から、サッと鍵がさらわれた。
え? 誰?
誰に、鍵を奪われたの?
赤茶色のウエーブ髪が跳ねるほど
勢いよく顔を上げた私の前には
制服姿の男子が!!
この常時ゆるゆる笑顔は、見覚えがある。
というか、私の脳が
顔の全パーツを記憶するほど、見慣れている。
ぐりぐりの瞳と、小ぶりの鼻、
ちょこんとした口が
真っ白な顔に、バランスよく配置されていて。
ゆるフワの髪が、金色で。
ヤンキーというよりは、
海外のセレブ俳優……
いやいや、童話の王子様……
「総長?!」
いきなりの登場に
私は声を張り上げちゃった。