祈りの空に 〜風の貴公子と黒白の魔法書
「どうした、兄さん」
 顔をのぞきこまれて、ハッとする。
「いえ、見事な語りに思わず聞き惚れて」
 急いで愛想笑いを浮かべ、シルフィスは立ち上がった。
「その、雷帝、に、直接お話を聞くことはできるでしょうか?」
「ああ、『銀の子猫』に行けば、いるんじゃないかな。出張るような事件もそうそうないしね」
「ギルド、ですよね、『銀の子猫』……」
 念のため、確認する。男は同じテーブルの客と笑い合う。
「戦士ギルドだけどね。食堂兼何でも屋になっちゃってるよなあ」
「メンバーも三人だけだしね。ああ、あと、首」
 首? 意味がわからなかったが、聞き返しはしなかった。ギルドへの道を教えてもらい、食堂を出た。
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