モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。

〈美乃里 side〉

よかった。
水牧くん、大事に至らなくて。

私を抱きしめたまま、力が抜けたように寝息を立てた彼を見たときは突然のことでパニックなってしまったけど。

湯前先輩がまだ片付けのために学校に残っていて助かった。

後夜祭もとっくに終わり。

昇降口で、人気のなくなった校庭を眺めながらパパの迎えを待つ。

「湯前先輩、もう帰って大丈夫ですよ」

「いやー、俺いなくなったらまたここでチュッチュしちゃうんじゃないかって心配で」

なんて、水牧くんと善先輩の会話に、ボッと顔が熱くなる。

なんて会話しているんだ……。

「さすがに熱あるのわかってるんで今はしないですよ」

「あーそう?でも、恋のキューピッドである俺に、なんの報告もないっていうのはいかがなもんなんだろうね?ね。月本さん」

「っ、す、すみませんっ」

善先輩に話を聞いてもらって、自分の気持ちに素直になることができたわけだから、

やっぱり先輩の言う通り報告しなかったのは良くなかったと思う。
< 280 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop