モテすぎる男子から、めちゃくちゃ一途に溺愛されています。

定食屋『三日月』

2年前の中2の頃から、その店の常連だ。

いつも夜はコンビニ飯かカップラーメンしか食べていなかった俺の、

何年ぶりに食べたかわからないあったかい人の作った飯。

初めて『三日月』でご飯を食べた時の感動は今でも忘れられないし、

俺の中での大切な思い出だ。

最近は体育の授業でも本気で走ったことなんてない俺が、

今はダメ元で『三日月』を目指して走っている。

『三日月』が閉まるのは22時。

時刻は22時15分。
もう、とっくに過ぎている。

それなのに、バカみたいだけど、止められなくて。

心のどこかで、まだワンチャンなにかの手違いで開いてたりするんじゃないかって謎の期待をして。

むしゃくしゃしてた。
剛さんの飯を食べて、嫌なことを忘れたかった。

あの人の作る料理を食べてる時だけは、美味さで頭いっぱいになれて、余計なこと考えなくて済むから。

「はぁ……はぁ……」

お店の横にある四角い看板に目を向ける。

いつもは暖かい色で灯っているけれど、今は真っ暗。

何してんだろ……俺。
こういうとき、いつもなら、しょうがないとコンビニで済ますのに。

今日だけ無性に必死で。
ダサい。
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