食堂の白井さんとこじらせ御曹司
 そうですよね。ちょっと変ですよね。私も、なんでこんなことになっているのか……って思います。
「まずは、ファンデーション」
 黒崎さんが、ファンデーションを探し始めました。
「丸くてベージュの、あ、色が何種類かある。まぁ、これでいいかな」
 と、商品を一つ手に取りました。
「これ、ファンデーションじゃないですよ?」
 黒崎さんが手に取った商品のパッケージの文字を指さす。
「え?パウダー?ファンデーションじゃない?」
「パウダーは、ファンデーションを塗った後にのせるものですね。いわゆる白粉です」
「そ、そうなのか?えっと、ということは、ファンデーションだけじゃ、足りないっていうことか。ファンデーションの後にパウダーを使う……。なるほど」
 カゴの中に、黒崎さんがパウダーを入れました。
 そして、何とか探し出したファンデーションと書かれた商品も見つけてカゴに入れます。
「さぁ、次は口紅かな」
 という黒崎さんにストップをかけます。
「下地がまだですよ」
「え?下地?」
「下地を使わないと、ファンデーションは肌から浮いてしまいます。もしくはすぐに崩れてしまいます」
 黒崎さんにはわかるだろうかと思ったら、あっと少し大きな声を出しました。
「塗装と同じなのか!」
 塗装ですか。
 世の女性が聞いたらちょっと起こりますよ。化粧が塗装なんて……。
「これが、下地クリームですね。それから、クマやそばかす、ニキビ跡やシミを隠すのにコンシーラーを使います。肌に陰影を出して立体的にするにはシャドーファンデ。そして就職活動のメイクには関係ありませんが、肌に艶を出すためのパウダーを使うこともありますね」
 次々にファンデーション関連商品を手にとりかごに放り込みます。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って。ファンデーションって、顔に、こんなにも塗っているのか?」
「人によりますが、百均で売っているものは、幅広く売れている一般的な商品ですから。多くの人が使っているでしょうね」
 黒崎さんが唖然としています。
「それから、続けてもいいですか?ファンデーションを塗るためのパフにスポンジ。口紅を塗るのにはこの紅筆。口紅以外に、縁取りをするペンシル、艶を出すグロス。割と口紅関連は少ないですね」
「口紅と紅筆だけでいいかと思っていた……ペンシルにグロス?」
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