食堂の白井さんとこじらせ御曹司
「唇の皮膚が弱い人は、口紅の下に口紅の下地を使ったりもしますよ」
「そうか……」
 続けてアイメイクに必要なものを上げていきます。黒崎さんは最後まで聞き終わり、カゴの中にたくさん入れられた商品を見てちょっとやつれています。
「こんなに必要だったのか……」
「いえ、まだ足りていませんよ?」
「は?」
「メイクをした後は、メイク落としで落とさなければいけません。メイク落とし、洗顔、それから化粧水、乳え……」
「待った、待った……どうしたらいいんだ?まさか、こんなに化粧が大変なものだと思わなかった……」
 とりあえず、百均で黒崎さんが会計を済ませます。
「私、百均は好きなんですが、化粧品類は主にこっちを利用しています」
 スーパーの中の百均なので、店内を移動すればすぐに化粧品売り場があります。ついでなので案内します。
「日常使いしやすい低価格の化粧品メーカーの品です」
 百均の化粧品類も、問題があればすぐに店内から撤去するなど品質管理もされてはいる。
 値段が安いから粗悪品、値段が高いから質がいいとも限らないのが化粧品です。だけど、百均化粧品には問題が一つだけあるのです。百均はどれだけ気に入っていても、次に買いに行ったときに同じ品があるとは限らないのです。だから、使ってません。
 毎回違う品を使うのは結構大変です。
「スーパーだよな、こんなに多くの化粧品メーカーの品が置いてあるのか?」
 そうです。スーパーでも何社もの低価格化粧品が置かれています。
「どこがおすすめなんだ?」
 黒崎さんが私の顔を見ました。小さく首を振って見せます。
「人それぞれですし、口紅はこちら、アイシャドウはあちらと選べばいいと思いますよ」
「そうだな。うん……だが……ファンデーションだけでも、これだけ種類があるのか?液体、パウダー、固形?水性、塗るとパウダー?さっぱりわからない、皮脂を抑える?毛穴を隠す?……どれがいいんだ?」
 小さく首を振ります。
「さぁ、時間がありませんので、帰りましょう」
 黒崎さんに背を向けてスーパーを後にします。
「で、白井さん、結局、女学生の相談にはどう答えたら……」
 百均で買った袋をぶら下げて黒崎さんがついてきます。
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