独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
私と母が向かいやすいようにと真崎家のみなさまが気遣ってくれ、お見合いは私たちの屋敷からほど近い料亭で行われる。

有名なその老舗料亭に着くと、すぐに女将に離れへ案内された。透哉さんたちはすでに到着しているらしい。

控えの間を通り抜け、女将が本間の戸を開ける。

すると出入口を背に、下座に着席していた男性がすっと立ち上がり、こちらを振り向いた。

透哉さんだと一目でわかる。

仕立てのよいスーツ姿の彼は、最後に会った十年前よりもさらに背が高くなっていた。

すっきりとセットされた黒髪と、男らしく整った顔立ちには知的さが増していて、まっすぐな眼差しで見つめられると胸が張り裂けそうなくらいドキドキした。

「ご無沙汰しております。みなさま、お元気でいらっしゃいますか?」

私は透哉さんとその隣にいる彼の両親に声をかけた。

けれど再会を喜ぶ私とは裏腹に、なぜか彼の両親は椅子から立ち上がりもせずに曖昧な表情を浮かべただけだ。

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