独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
当惑する私の背中を、母がそっと押す。
「ほら琴子、席に着きましょう」
「はい……」
直感でなにかがおかしいと思いながらも、私は母と上座に着いた。
お見合いの最中もにこやかに話しているのは私の母だけで、透哉さんは口数が少なく、さらに彼の両親は私と目も合わそうとしない。昔の記憶では、大グループの社長夫妻にもかかわらずとても気さくな印象だったのに、一体どうしたのだろうか。
まるで彼らに拒絶されているようだった。
あまりの居心地の悪さに私は笑顔を作ることができなくなり、俯きがちになってしまう。
「琴子さん、少しふたりで話しませんか?」
すると不意に透哉さんに促された。
私がぱっと顔を上げると、母は「あらいいわね」と透哉さんに賛同する。
透哉さんは自身の両親に了承を得てから、私を連れて離れの間を出た。
雨が降っているので庭園には下りず、彼と屋根付きの亭橋の上を歩く。そこから見渡す景色がとてもきれいだった。
「ほら琴子、席に着きましょう」
「はい……」
直感でなにかがおかしいと思いながらも、私は母と上座に着いた。
お見合いの最中もにこやかに話しているのは私の母だけで、透哉さんは口数が少なく、さらに彼の両親は私と目も合わそうとしない。昔の記憶では、大グループの社長夫妻にもかかわらずとても気さくな印象だったのに、一体どうしたのだろうか。
まるで彼らに拒絶されているようだった。
あまりの居心地の悪さに私は笑顔を作ることができなくなり、俯きがちになってしまう。
「琴子さん、少しふたりで話しませんか?」
すると不意に透哉さんに促された。
私がぱっと顔を上げると、母は「あらいいわね」と透哉さんに賛同する。
透哉さんは自身の両親に了承を得てから、私を連れて離れの間を出た。
雨が降っているので庭園には下りず、彼と屋根付きの亭橋の上を歩く。そこから見渡す景色がとてもきれいだった。