独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
母は父の死後、私の知らないところで家を担保に金融業者から多額の借り入れをしていたらしい。

そして返済が滞り、屋敷はすでに差し押さえ寸前だったようだ。

私は目の前が真っ暗になる。

「もう少しで孝太郎さんの大切な思い出が詰まったお屋敷を奪われるところだったわ。なんとしてでも守らなきゃね」

屋敷を担保にしたのは母なのに、まるで被害者のような口ぶりだった。

「借金なんていつの間にしていたの……?」

父の会社の清算については、十年前に伯父が滞りなく行ってくれ、我が家には貯蓄もないが借金もないはずだった。

「いつの間に、なんて、あなた他人事のように言うのね。実家が貧乏じゃあなたが惨めで肩身が狭いと思って、あなたのためにした借金なのよ。おかげであなたは孝太郎さんが亡くなったあとも何不自由のない暮らしができたでしょう?」

たしかに我が家は生活が一変したのに、私はなにひとつ制限されることなく希望の大学を卒業させてもらった。ヴァイオリンなどの習い事もいくつも掛け持ちしていたのだ。

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