独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
透哉さんはどうしてそこまで私を見捨てずにいてくれるのだろう。

「琴子さん、透哉がこの調子だからあなたにお願いするわ。あなたから破談にしていただけるなら、一億円の返済は不要よ。それを直接あなたに伝えるために、私は今日ここに来たの」

彼のお母さまは私に直訴した。ついに憤りを通り越し、とにかく縁談を取り消そうと必死の様子だ。

しかしタイミングが悪く離れの間の襖が開いた。

母が戻ってきて、気まずい空気が漂う。

「あら、私またなにかお邪魔しちゃったかしら?」

場にそぐわない発言した母に、透哉さんのお母さまは顔をしかめる。

「それでは琴子さん、いいお返事を期待していますからね」

私にそう言い残すと、透哉さんのお母さまはお父さまを引き連れて帰ってしまった。

私は慌てて透哉さんに視線を向ける。

破談するか否かを考える時間は必要なかった。

彼と結婚できるはずがない。

「透哉さん、結婚のお話はなか……」

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