独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「今後のことは、俺から琴子さんに連絡します」

けれど透哉さんは私の話を遮ってそう口にすると、部屋を出ていってしまった。

「まあ、親子揃って慌ただしいこと」

母は苦笑いを浮かべた。

私は途方に暮れてしまう。

透哉さんはなにを考えているのだろうか。

「よかったじゃない、琴子。一億円の返済は不要ですって」

「お母さま、聞いていたの?」

母にそっと肩を叩かれて、私は目を見開いた。

母はいつからここにいたのだろう。まさかずっと盗み聞きしていたのだろうか。

「たった一億円でこんなに揉めるところに大切な娘はやれないわ。明日にでもこちらからお断りの電話をしましょう」

金額の問題じゃない。分別なくお金の無心をするような、得体の知れない女性が家族になるのを真崎家は厭っているのだ。どうして母にはそれがわからないのだろう。私は悲しくなった。

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