独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
当日、約束の時間より少し早く、大通りに面した白い壁に大きな窓のおしゃれなカフェに到着すると、スタッフがバックヤードに案内してくれる。

「はじめまして。オーナーの森窪です」

スタッフルームにいたのは長身の男性で、私は少し面食らった。オーナーはてっきり女性だと思い込んでいたからだ。

年齢は三十歳前後だろうか。透哉さんよりも少し上に見えた。彫りの深い顔立ちに、胸もとが大きく開いた柄シャツと革のパンツ、アシンメトリーに刈り上げられたハイトーンのヘアスタイルは野性的な雰囲気があり、私の周りにはいないタイプだ。

「はじめまして、真崎です。よろしくお願いいたします」

丁寧に頭を下げると、「そんなに堅苦しくなくていいよ。適当に座って」と苦笑いされた。

履歴書を持参していたが、それもいらないと受け取りを拒否される。森窪さんはとても気さくな人柄のようだ。

「玲於奈ちゃんの友だちの奥さんって聞いてるけど、働くの初めてなんだって?」

私が彼の向かいの椅子に座ると、面接が始まった。

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