独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「はい。大学を卒業後、家事手伝いをしていて、そのまま結婚したので社会経験がありません」

採否の決定に重要なことだから正直に話した。

「へえ、まあうちは真崎さんと同じように初心者のスタッフも多いから、その辺は安心して」

「ありがとうございます」

「シフトも融通利くし、働きやすいと思うよ。勤務時間帯の希望はある?」

「日中、お昼前後でお願いしたいと思っています」

「おっけー、こっちもランチの時間帯に入ってもらえるのは助かるよ。時給は三ヶ月の研修期間中は千円、それ以降は千二百円スタートなんだけどいいかな?」

その時給なら、私の希望通りに働ければひと月で十万円くらいになる。そんなにもお給料をもらえるなんてありがたかった。

けれどそれで母を納得させられるだろうかと、ふと不安がよぎる。

「カフェのアルバイトの時給にしては、そこそこいいほうだと思うんだけど?」

とっさに黙り込んでしまうと、森窪さんは私の表情を窺いながら率直に付け加えた。

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