独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
「そうなのですか?」

法律上普通の飲食店、というところに、私の警戒が薄れた。しかもお酒を飲まなくてもいいのなら、カフェでの接客と大差がない気がしてくる。

「うん。大変なのは、ずっと立ちっぱで接客しなきゃいけないくらい?」

それこそカフェのフロアスタッフと同じだ。

無知な私は興味をそそられた。

「気になるなら体験入店してみる? 一度現場を見れば安心して働けると思うよ」

森窪さんに勧められてうなずくと、「今日これから時間ある?」と訊かれ、早速そのまま社用車で店へ連れて行かれた。

森窪さんが経営しているガールズバーは、繁華街にある雑居ビルの地階に入っているようだ。

あまり広くない店内は真っ昼間でも薄暗く、バーカウンターにふたりの女性店員がいた。どちらも私と同じくらいの年齢で、あか抜けた雰囲気だ。ふたりはタイトなリブワンピース姿と、大胆にサイドスリットが入ったワイドパンツ姿という、それぞれ異なった服装をしている。制服はなく私服勤務のようだった。

お客さまは二十代半ばくらいの男性が数人いて、想像していた感じとは違って少し驚く。

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